早稲田大学比較法研究所では、創立50周年記念事業の一環として、Aプロジェクト「比較法と法律学―新世紀を展望して」という連続講演を実施していくことになりました。比較法の新段階の考察に始まり日本法のアイデンティティの探求、国際的な文脈の解明、そしてそれらを国際的に発信するということを意図し、2001年から2006年までの3期にわたって展開された比較法研究所連続講演の流れを踏まえながらも、新たな観点から課題に迫ろうとするものです。
日本法を比較の観点から相対化して見る視角は、我が国の法律学の特性といえますが、そこではまた、西欧近代を準拠概念とする思想的営為を基軸として、現在もなお様々な理論的模索が行われています。
そこでは法律学の学としての再構築が意欲的に追求されるとともに、解釈学的法律学によって法典を中心に体系化された法律学のありかた総体にも積極的な見直しが進行しているように思われます。注目すべきことは、こうした法律学のあり方が、比較と歴史の文脈において多様かつすぐれてアクチュアルな課題を意識しつつ論じられていると思われることであり、この連続講演もしたがってそのような意味での比較法の再定位を追求しようとするものです。2007年度からは月1回のペースで連続講演会を開催しています。 |